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〈食と美と健康〉 お茶の効能:カフェイン・カテキン・テアニンの相互作用                    

静岡に住んで、一番静岡らしさを感じるのは4月~5月にかけての新茶の時期です。窓辺から眺める茶畑、近所や地域、また、中山間部において、すがすがしい黄緑色の新芽の風にそよぐ様、そして穏やかな日差しの下でのあたり一面の新緑の茶畑、まさに、生きていてよかったと思われる時期です。桜が満開の時を終え、花吹雪となり、そして葉桜へと移り行くのは、時の流れの速さとはかなさを実感するときですが、一方では、茶畑が新芽から淡い黄緑色の輝きに変わっていく時であり、デーンとした大地と心の落ち着きが感じられます。

さて、緑茶には健康に関する多くの機能性成分が含まれています。代表的なのは、カフェイン・カテキン・テアニンです。機能性については、それぞれ個別に研究されることが多く、例えば、「覚醒とリラックス」「認知機能」「ストレス耐性」「代謝・抗酸化」などがあります。しかし、私たちは個別の成分を摂取するのは稀で、普段はお茶としてすべての成分が含まれた複合物(抽出液)として飲用します。同時に摂取することにより緑茶らしい味わいと生理的な相互作用が期待されます。

そこで、それぞれの組みあわせでの効能を考えてみます。まず、私が研究してきたお茶のうまみ成分であるテアニンについてです。テアニンが含まれたお湯を、ヒトボランティアに飲んでもらったところ、脳波の中でα波の放出頻度が増加したことから、リラックス・集中の質の向上が期待されました。これまで、良い香りや心地よい曲を聴いてリラックスしているときには、α波の増加することが知られていたからです。このことは、ストレス耐性の強化とも言え、実際に月経前症候群にみられる各種不定愁訴が抑制されることを明らかにしました。カフェインは中枢神経刺激作用のあることから、テアニンとは逆の作用を示します。この両方を合わせると、すなわち、カフェインの覚醒作用とテアニンの過剰興奮の抑制作用を合わせると、頭はさえるが、神経は落ち着くという「すっきりとしたリラクゼーション状態」であると思われます。カフェインの中枢神経系の興奮作用の面からでは、反応速度・注意力が増し、集中力や認知機能の質的向上が考えられます。テアニンは、グルタミン酸受容体の調整や、同時に摂取するカフェインによる不安・動悸を緩和することから、興奮の抑制作用が分かりました。

緑茶カテキンは抗酸化・抗炎症作用を示すことから、多くの体内酸化に起因する炎症を抑制することが報告されています。一方、テアニン・カフェインとの拮抗は特に見られないので、お茶は、多くのフレイルに対する予防効果があり、極めて有効な機能性飲料であると思われます。

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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