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茶柱コラム

〈食と美と健康〉鍋料理のおいしい季節:キムチ鍋                      

 鍋料理がおいしくなる季節です。特に寒い時は、体を温めるキムチ鍋が美味しいですよね。女子の間では、肥満防止やダイエットを目的としてトウガラシが好んで使われているとか。この香辛料は、殺菌作用や補温作用が良く知られています。その主要な辛味成分であるカプサイシンの生理機能を利用した食品やドリンク剤なども多く出回っています。果たしてこの様な食生活は好ましい姿なのでしょうか。なぜなら、食べ物は味覚を刺激し、味覚には塩味・甘味・辛味・苦味・旨味があるのですが、それは、その食物が生体にとって利用可能であるかの判断に利用されてきたと思われるのです。すなわち、酸っぱいものや苦みは、腐敗しているかどうか、辛味は、有毒であるかどうかの判断をするためのものであり、体には良くないと思われるのです。

トウガラシとは?

 トウガラシの原産国はアメリカとペルーです。コロンブスが西インド諸島にたどり着いたとき、胡椒よりも辛味をもった香辛料としてスペインに持ち帰ったのが世界に知られるきっかけといわれています。日本にはポルトガル人が伝えたことから南蛮の胡椒、また、中国から伝わった唐の辛子(唐辛子)として知られています。トウガラシにはビタミンA・B1・B2・C、カロチン、カリウム、鉄、食物繊維などが含まれています。なかでも、トウガラシの一種であるピーマンに含まれるビタミンCは、ショウガの4倍、レモンの2倍もあります。辛味成分のカプサイシンには、食欲増進やエネルギー消費を高める作用があり、辛味の程度は品種により差があります。鷹の爪は辛味が強く、小さい果実の品種ほど、また先が尖っているものほど辛味成分が多く含まれています。辛味は、種子部と胎座部に多く、果肉部にはごく少量しか含まれていないことは、あまり知られていません。

トウガラシの生理作用

 トウガラシを食べた後、身体が熱くなったり、汗をかいたりしますね。カプサイシンが体に影響することは確かなのですが、その生理作用はどうなっているのでしょうか。トウガラシを食べるとカプサイシンが中枢神経を刺激して、副腎皮質からアドレナリンなどのホルモンの分泌を促すため、エネルギー代謝が盛んになり、体内の貯蔵脂肪の分解を促進することになります。さらに、毛細血管を収縮し、心臓の動きをも活発にするので、カプサイシンには肥満予防、強精・老化防止に効果があります。また、一般に辛味は舌や胃を刺激して食欲を増進させますので、疲れた時や胃が弱った時に助かりますね。

 人間は、進化の過程で自然界に存在する様々な生物を食物としてきました。その際、単一の成分を多量に摂取(サプリメント)するような食習慣はなく、それ故、身体と相談をしながらバランスの良い食事を心がけたいものです。それが身体と精神を健康に保つ秘訣であり基本ではないでしょうか?

〈2021年11月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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