〈食と美と健康〉お茶の効能:テアニンとビタミンとの相互作用

茶樹には多くの品種があり、また、同じ品種であっても土壌環境・育て方・収穫時期・製造工程などの違い、また、お茶の淹れ方は様々であり、その効能を一般に評価することは大変に難しい。お茶には体に良い成分が多く含まれ、それらが複雑に絡み合って色味や香りまで変化するので、さらに複雑である。お茶を飲んで何らかの影響があったとしても、その飲用したお茶の、どの成分がかかわっていたかの分析も難しい。結果として、個別の成分について研究することが多くなります。お茶を飲んだ時のホッと感・リラクゼーションにテアニンが関与していることを多くの実験から明らかにしてきました。その際の研究手法は実験動物を用いる場合には、純粋なテアニン粉末を水に溶かして経口(必要に応じ脳内)投与するか飼料に混ぜ、ヒトボランティアが対象の場合には、被験者にはわからない形で飲料として与えました。このように単独投与した理由は、お茶には色々な成分が含まれており、それらがテアニンの生理作用に影響を及ぼす可能性があるからです。今回は、テアニンとお茶に含まれるビタミン(主にC、B群、E)との関係について述べます。
テアニンは、脳神経機能の面では、グルタミン酸系の神経伝達や抑制性の神経伝達物質GABAの作用に関与しリラックス効果を持つことです。一方、お茶にはビタミンCが含まれており、壊血病の予防というだけでなく、抗酸化や抗ストレス緩和の効能があります。お茶にはカテキンが含まれており、ビタミンCとともに、どちらも抗酸化作用があり、相補的にストレス軽減効果や抗酸化作用の強まる可能性があります。さらに、テアニンはカテキンの吸収や脳内神経伝達物質に関与し、ビタミンCは高温で酸化しやすいカテキンを保護するため、ビタミンCが豊富な煎茶は、テアニンとカテキンがその効能を一番発揮しやすい組み合わせになっていると思われます。

緑茶にはそれほど多くはないが、ビタミンB6、B12、葉酸も含まれています。ビタミンB6はGABAがグルタミン酸から合成される時の必須成分であり、B12や葉酸も神経細胞の維持・修復に必要です。それ故、脳機能に関するテアニンの集中力アップや疲労軽減にこれらのビタミンの組み合わせは理にかなっていると思われます。
お茶は多くの健康因子を含んだ健康飲料であり、テアニンやビタミン単独による神経系や抗酸化力を期待するよりも、多成分を含んだお茶として摂取した方が、多面的な効果が穏やかに発揮されると思われます。それは、それぞれが異なる経路で作用し、総合的で自然な機能が得られるからです。
静岡県立大学名誉教授
農学博士 横越英彦 著
-
