|茶の動向
「足元悲観、将来楽観」― 抹茶ブームの今、茶業界がとるべき針路とは

ニデック(旧日本電産)創業者である永守重信会長の言葉に「足元悲観、将来楽観」があります。調子のいいときには足元をじっくり見つめ、厳しいときには顔を上げて、将来の希望と夢を語る。どのようなときにも悲観一色、楽観一色ではダメだということを教えてくれます。楽観と悲観は一対のもの。夢と危機感はいつも合わせ鏡のように語られなくてはいけないと。
今の茶業界はどうでしょうか。世界中が抹茶ブームに沸き碾茶やモドキ原料まで2〜3倍の値がつき高く買える客が優先で今まで抹茶を支えてきてくれた方達は後回し、煎茶も二番茶以降は2〜3倍の相場で既存の商品は全て見直しが必要となり改正後の商品がマーケットに受け入れてもらえるのかどうなのか誰も解りません。
戦後の起伏の激しい時代を経験された方達ならばそれがどうしたなのかもしれませんが、金利も知らない時代にどっぷり浸かった身としては五里霧中、暗中模索でしかありません。ただ、世界が抹茶、緑茶の価値を知り、ブームが起こり、国内ではその価値をしっかりと伝えていないが為に過去の延長線上にしか希望も判断もつかない。そんなことではないでしょうか。
私達が扱い、お世話になっているお茶はそんな程度のモノでしょうか。静岡市では組合が5年間お茶の価値を伝え続けた結果、世帯当りのお茶購入金額が倍の一万円を越え、進行中です。今からでも遅くありません。お茶を熱く語り、伝えていきませんか。
代表取締役 竹澤重人