竹沢製茶 静岡の製茶問屋、ODM / OEM

News

お知らせ

茶柱コラム

〈食と美と健康〉日本食のすすめ:夏バテ解消と味噌汁

猛暑の夏も過ぎ、これからは夏バテによる消耗した体力の回復につなげたい。大量の汗をかき、その都度水分を補ってはきたが、体の調子に関わるミネラルの補給はどうであったのか。食事内容と寿命との関係を調べた調査報告では、寿命の延伸と関連のあった食物は毎日味噌汁を摂取しているかであった。味噌汁は、味噌に出し汁を合わせ、それに具材として野菜や豆腐、麩、魚介類、穀類、肉類などを加え、ミネラルも豊富な汁物です。

私が子供の頃、人生50年といわれていた。それと比べると、現在は平均寿命で80歳を超え、100歳を超えるお年寄りも約95000人を超えた。なぜこれだけ伸びたのか。食べ物が関係していないだろうか。平均寿命が20歳代、あるいは30歳前後と言われている江戸時代、幕府を築いた徳川家康は75歳の天寿を全うした。家康は何を食べて長生きしたのだろうか? 戦乱の時代を終わらせ、太平の世を築いた徳川家康。260年に及ぶ太平の世の礎を築いたのは、家康の信念によるところが大きい。聖徳太子が作った十七条憲法にある「和を以て貴しと為す」の精神を基本とし、彼の遺訓に「天下は一人の天下にあらず。すなわち天下の天下なり。」とある。部下との信頼を築き、長期的な視点で巧みな人材を登用した。現在にも生かされるべき信念が伺われるが、ここでは彼の食事面について触れてみたい。

家康は健康に対する関心が人一倍強かった。食事を見てみると、麦御飯、味噌汁、焼き魚、季節の野菜などで、典型的な日本食である。静岡市内で採れる麻機蓮根、折戸なす、山芋、また、穀類、大豆、魚といった食材は、日本人にとって伝統的な食材だが、これらは体内の消化・吸収などに負担をかけず,体調を整えてくれる作用がある。すなわち、一国一城の主でありながら白米でなく麦飯を食べていたことである。日本の伝統食品である大豆食品(納豆・豆腐・味噌)、イワシの丸干し、興津鯛など、好んで食していた。また、三河出身の家康にとっては地元の三州味噌・八丁味噌を味噌汁(あつめ汁:野菜など具だくさんでつくる)として、あるいは焼き味噌として大いに愛用していた。そのほか、家康は、いくつかの漢方薬を愛用し、また、健康の3要素(栄養・睡眠・運動)のうちの運動にも積極的に取り組むスポーツマンであった。

猛暑と冷たいビールや焼肉で痛められた体を、味噌汁をベースとした和食でミネラル分を補給し、また、異常気象が続くこれからの季節の変動にも耐えられる強靭な精神力と体を備えたいものです。

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

-

この記事をシェアする