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〈食と美と健康〉夏のお茶:水出し煎茶による心身の爽やかさ                    

暑い時期には、冷たい飲み物か、口の中が爽やかになる飲み物を好みます。また、汗をかくことから水分補給の面からも、多く飲めるものが良い。その点では、夏の普段の飲料として飲まれている麦茶などは、適しているのでしょう。最近では、水出し煎茶や氷だし煎茶なども好まれているようです。

冷たい煎茶を作るには主に2つの方法があります。一つは、普通にお湯で抽出したお茶を、冷蔵庫で冷やしておくものと、もう一つは、初めから冷水で抽出、あるいは氷水で抽出するものです。この2つの方法では、抽出されてくる成分に差があります。冷水で時間をかけて抽出した水出し煎茶では、カフェインやカテキンが抽出されにくく、逆にうまみ成分であるテアニンがより抽出されやすく、また、ビタミンCも分解されにくいので、甘みのあるさわやかな味のお茶になります。特に、ビタミンCは抗酸化作用や美肌効果があるため、日焼けが気になる夏に積極的に取りたい栄養素です。肌老化の元凶である紫外線を日焼け止めや帽子などで体の外側から守るのと同時に、水出し煎茶で、体の内側からのケアも有効です。

夏は汗をかきやすく、昼間はもちろん夜間の水分補給も重要です。特に、水分補給に注意が必要なのは「入浴の前後」と「寝る前」です。熱中症は暑い昼間だけでなく、約4割は夜間に発症しています。入浴中や就寝中は、それぞれ500mLくらいの汗をかくといわれています。特に睡眠中は、熱中症の症状を自覚できず悪化しやすいので、寝る前の水分補給が非常に大切です。水出し煎茶には、リラックス効果のあるテアニンも多く抽出されます。それ故、寝る前に水出し煎茶を飲むと、そのリラックス効果により、睡眠の質が高まる快眠効果も期待できます。一方、就寝前に煎茶を飲むと、それに含まれるカフェインの覚醒作用や利尿作用により、摂取を控える人が多いようですが、そんな方には氷だし煎茶はどうでしょうか。水出し煎茶に含まれるカフェイン量は、普通のお茶の半分程度であり、氷だしの場合にはさらに少なくなります。なので、寝る前に1杯飲む程度なら心配ありません。

水出し煎茶は熱湯で淹れる緑茶とは異なり、温度が低い状態でゆっくり時間をかけて抽出します。そのためお茶独特の渋みが少なくて飲みやすく、爽やかで芳醇な風味を楽しむことができます。とくに夏にぴったりの飲み物です。猛暑での熱中症対策の一法として、健康に乗り切りたいですね。

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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