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茶柱コラム

〈食と美と健康〉茶カテキンの代謝―メチル化カテキンとは?                      

緑茶カテキンとは

 緑茶の効能を考えるとき、カテキンが重要な役割を果たしており、それには、エピカテキン (EC)、エピガロカテキン (EGC)、エピカテキンガレート (ECG)、エピガロカテキンガレート (EGCG)があります。中でもカテキンの 50~60%を占めているのは EGCGです。ECは茶の他にブドウ、リンゴ、ソラマメ、サクランボなどにも含まれていますが、EGC、ECG、EGCGの3種類は、茶に特有のカテキンです。

 茶カテキンは煎茶に多く、一杯で 60mg程度含まれていますが、紅茶やウーロン茶では、製造工程中に、これらカテキンが酸化重合するので含有量は少なくなります。また、カテキンは一番茶に多く、二番茶、三番茶になるに従い減少し、また、成熟した葉 (3~4葉目)よりも若い芽 (1~2葉目)に多く含まれています。茶葉中のカテキンの生成は栽培条件にも影響され、日照時間の増加と気温の上昇により促進されます。できたカテキンは細胞内の液胞に貯蔵され、代謝分解はほとんどされません。

カテキンの体内代謝

 カテキンの体内動態については、前回取り上げましたが、未だ不明なところがあり、詳細な研究が望まれています。一般には、カテキン類は動物体内に吸収された後、そのまま、あるいは抱合体(硫酸エステルおよびグルクロン酸エステル)や、重合体、メチル化体として存在します。そして最終的にはヴァレロラクトン誘導体を経て馬尿酸として尿中に排泄されます。

メチル化カテキンとは

 メチル化されたカテキンは、体内で生じるだけでなく、茶樹の品種によりメチル化カテキンを含むものがあります。メチル化カテキン(EGCG3-Me)を飲用した試験では、EGCGより9倍ほど多く吸収されており、また、血中からの消失も穏やかでした。動物実験では、メチル化カテキン(EGCG3-Meおよび EGCG4-Me)は、EGCGよりもその有効性が数倍高いことが示唆されています。例えば、EGCGのメチル化体が、もとのEGCGに比べ、より強い抗アレルギー効果を示すことが報告されました。また、ヒト試験で、血圧の少し高い方、または軽症高血圧の方がメチル化カテキンを含む「べにふうき」緑茶エキスを8週間飲用したところ、それを含まない「やぶきた」緑茶エキスを飲用した方と比較し、収縮期血圧が低下する傾向が観察されたとの報告もあります。

メチル化カテキンだけでなく、その他のグルクロン酸抱合体や硫酸抱合体などの生理機能の解明も、お茶の効能を考える時必要であり、今後の研究成果が期待されます。

※べにふうき品種は紅茶を製造するための品種でしたが、緑茶として製造したところメチル化カテキンを多く含んでいることが発見され、花粉症をはじめとするアレルギー反応に効能があることが認められています。カテキンが量が多く渋いお茶ですが、正に「良薬口に苦し」を地でいくお茶なのかもしれません。

〈2022年7月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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