竹沢製茶 静岡の製茶問屋、ODM / OEM

News

お知らせ

茶柱コラム

〈食と美と健康〉~ファイト一発~生命の潤滑油:タウリン                       

戦時中、タウリンに注目

 「ファイト~一発」などと、テレビCMで元気を生みだす活力源のようなタウリンとは何でしょうか。硫黄を含んだアミノ酸を含硫アミノ酸といい、これが体内で利用されたのちの最終産物がタウリンです。タウリンは、体のあらゆる部分、特に生命に係る重要な心臓、筋肉,肝臓、腎臓、肺、脳、果ては卵巣や精子にも含まれています。タウリンの効力に目をつけたのは、戦時中、帝国海軍の軍医さんらが、ゼロ戦や潜水艦の兵士たちの極度の疲労が、タコの煮汁からとったタウリンを与えると軽減したという経験によるところが大きいと伝えられています。

タウリンとネコ

 タウリンは植物以外のあらゆる生物に含まれており、特に多いのが魚介類です。タコ、カキ、ブリやカツオの血合い。淡水魚よりも海水魚に多く含まれています。同じ河川で採れたシジミでも、淡水、汽水、海水域では、海水域でのシジミの方がタウリンを多く含むので、浸透圧調節に関わっていると考えられます。一昔前、アメリカでキャットフードを与えていたネコに、発育不全、不妊、心臓病、目の障害などが報告されました。それは、ネコ科の動物は、タウリンが必須であるが、当時の餌には含まれていなかったからで、サザエさんのマンガでネコが魚をくわえて逃げるのには、食べる必然性があったのです。

タウリンは母乳に多い

 ヒトの母乳、特に初乳中にタウリンは多く、漸次低下していきます。多く含まれているのには,当然、何らかの生理的な意義があると思われます。色々な研究から、私達の体の細胞、その細胞膜の保護作用に関わっていることもあきらかにされました。また、悪玉コレステロールを大幅に下げて動脈や血管を守り、血栓ができるのを予防し心臓を守り、リウマチ性関節炎、喘息、アレルギー、頭痛、ガンなどの病気にも有益であるといわれています。

血中コレステロールを低下させる

 ラットの研究では、食餌性高コレステロール血症の場合,タウリンを投与すると血中コレステロールは低下したことが我々の研究で明確になりました。コレステロールは肝臓で分解され胆汁酸になり,胆汁中から腸管に分泌されるが、タウリンは、このコレステロール分解酵素の活性を顕著に高めて血中コレステロールを低下させる働きをもっています。魚介類100g中にタウリンは、殻付きカキ1178mg、むき身のカキで491mg、カツオで164mg、マアジで229mgとなっています。タウリンの各種生理機能は、緑茶の効能とよく似ています。「生命の潤滑油」としてのタウリンを豊富に含む魚介類を緑茶と共においしくいただきましょう。

〈2021年6月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

-

この記事をシェアする