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茶柱コラム

〈食と美と健康〉雑食のすすめ:百菜百神                          

 私達は食べ物に意識しないで食べていますが、「一粒三神」、「百菜百神」と言うように本来色々な神(機能)が宿っています。今、流行りの機能性食品という言葉からは、何か特別な食品のようなイメージを受けますね。昨今、「食と健康」に関する様々な情報が乱れ飛んで、私達は何を食べればよいのか分からなくなっています。特別な生理機能を持った食品については今後追々お伝えしますが、私達が日頃食べている食物にも、お茶と同様に、全て身体にとっては役割があり機能があるので、そのことをお伝えできればな、と思います。

地球のどこにも人は生きている(すごいことだと思いませんか?)

 食べ物は、所変われば、食材や調理法が異なります。例えば、広い地球で考えてみると、極寒の北極や中央アジアの乾燥地帯では野菜などは生育できず、また、熱帯地方では農作物なども限られています。それなのに、人間は地球上の至る所で生活しているのです。それは、その地域でとれる食材に適応してきたからに他ならない訳で、すなわち、身近で収穫できる動植物、魚介類などを利用してきたのです。豊富な食材が手に入る地域はよいですが、気候などの関係で、限られた食材しか手に入らない場合、体はうまく機能しているのでしょうか。

栄養適応の例(エスキモー)

 初めに結論を言いますが、人間の身体は相当の適応能力があって、その地域でとれる食材を利用するすべを、長い進化の過程で獲得してきたのです。よく知られていることに、アラスカエスキモーの人達は、生肉を食べますね、そのことによりビタミンなどが破壊されずに摂取されてきた。摂取カロリーの内、脂質の占める割合が高く、その食事内容を、そのまま日本人に当てはめたら、高コレステロール血症を引き起こす危険性があります。かなり危険ですよね。しかし、現実のエスキモーの動脈硬化の発症頻度は、必ずしも高くないのです。その理由としては、体内でのコレステロールの調節が厳密に自然と行われていることや、季節による摂取量の変動などが考えられています。

歯の種類と食内容

 食事は、食物が口に入り歯でかみ砕くことから始まるのですから、あらゆる食べ物に対応できる丈夫な歯を持つことが必要ですよね。歯を失った生物は、生きてはいけないのですから。歯は、肉をかみ切るための犬歯、穀類や繊維を擦り潰すための臼歯など多様です。歯の本数は上顎と下顎にそれぞれ16本の合計32本です。上下左右同型の歯が揃っているので1/4で考えると、臼歯(穀類、豆類)は5本、切歯(野菜、果物)は2本、犬歯(肉、骨類)は1本です。副食の野菜、果物が2で、肉類が1だから、野菜は肉の2倍食べるのが理にかなっています。また、主食(穀類)と副食の割合は、5:3となります。歯の組み合わせが食物の必要性を示している訳で、世界中どこでも生きていける条件である雑食を可能にしたと思われます。

〈2020年12月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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