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茶柱コラム

〈食と美と健康〉ギャバ(GABA)でリラックスしよう      

 スーパーの食品棚には、カナ書きやアルファベットの商品が多いですよね。何語が語源なのかも分からない。また、レストランではさらに発音しにくいメニューがならんでいてオーダーするのにドギマギです。その中で、最近ギャバ(GABA)という単語を目にすることが多くなっています。そこで、今回は、ギャバって何かについて、そして次回に、ギャバを含んだ機能性表示食品についてお伝えしたいと思います。 

ギャバって何?

 高齢社会やストレス社会を迎え、食品の果たす役割として、疾患予防だけでなく、生活の質(QOL)を向上させることが、今望まれています。その中でも特に心の健康が大切で、注目されている食品成分の一つがギャバなのです。ギャバはγ―アミノ酪酸といって、自然界に広く存在するアミノ酸の一種で、グルタミン酸が脱炭酸されて生成するものです。動物だけでなく、野菜、果物、発芽玄米や緑茶(身体によさそうなものばかりですね。)など植物由来の食品にも含まれています。また、乳酸菌などによるギャバ生成能の高い条件での発酵食品などの開発が試みられています。

ギャバの生理機能は?

 ギャバは体内でとても重要な生理的役割を果たしていて、脳の内にも存在しています。抑制性の神経伝達物質として作用し、これまで脳卒中、頭部外傷後遺症による頭痛、耳鳴りなどの治療薬として利用されています。また、高血圧自然発症ラットにギャバを投与すると血圧が低下し、高血圧改善作用が知られています。そのメカニズムは、延髄の血管運動中枢に作用して、血圧を低下させるとともに、抗利尿ホルモンであるバゾプレッシンの分泌を抑制し、血管を拡張して血圧を下げるものと考えられています。また、ラットを用いた私たちの研究では、ギャバの投与により、学習能力の高まることがわかったりしました。(お茶を飲んでの一夜漬けの勉強は理に適ったことだったんです。)

イライラを解消する

 せん妄などを有する老人性認知症や、精神症状を有するパーキンソン病患者、てんかん患者の髄液では、ギャバ濃度が低下していることから、ギャバに神経の興奮を抑える働きのあることが推測されています。気分障害やアルコール性のうつ病患者でも、髄液中のギャバ濃度が減少していて、ギャバは感情障害や不安障害の発症メカニズムに大きく関与していることがわかっています。また、不定愁訴の例として、更年期障害に対する影響を調べた報告があります。更年期障害の代表的な評価指数では、ギャバ飲料を飲むことで症状の改善が認められました。これらのことから、更年期障害や初老期にみられる不眠やイライラなどの精神障害、自律神経障害なども、ギャバが軽減させる可能性が示されています。(お困りの方は思いのほか多いです。)

 ギャバはストレスの多い現代人にとっては必須の食品成分といえ、薬ではなく食で症状が癒えることは素晴らしいことですね。次号では、ギャバを多く含んだギャバ茶などについて取り上げる予定ですので、お楽しみに。

(月刊「茶」2019/9月号、参照)

〈2020年9月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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