竹沢製茶 静岡の製茶問屋、ODM / OEM

News

お知らせ

茶柱コラム

〈食と美と健康〉お茶でインフルエンザ予防                     

 新型コロナウイルス感染症に対し、世界保健機構(WHO)は、2020年3月15日に、「パンデミック」の状況にあると宣言した。この感染の収束には、長期間の継続した取り組みが必要とされ、早い機会に、有効なワクチンや治療薬の開発が望まれる。

一方、毎年、寒い時期にみられるインフルエンザについても、肺炎や胃腸炎などの合併症を引き起こす可能性があり、不安の尽きないことである。もともとトリのインフルエンザウイルスが何らかの原因で、ヒトからヒトへの感染性を獲得すると、人類はこのウイルスに対する免疫を持っていないので爆発的な大流行になる。これを新型インフルエンザ、あるいはインフルエンザパンデミックという。

カテキンとインフルエンザ予防

 防緑茶を飲むとインフルエンザ予防が期待できるとの研究がある。被験者を2群に分け、5カ月間、カテキンとテアニンの投与の有無により、インフルエンザの感染状況に違いがあるか検証した。結果はカテキンとテアニンを摂取し続けたグループは発症率4.1% (4/97)が感染したのに対し、摂取しなかったグループは発症率13.1% (13/99)で明確な違いが出た。また、新型インフルエンザウイルス(H1N1型)に、緑茶に最も多く含まれるエピガロカテキンガレートを投与したところ、その感染を抑える結果が出た。それ故、毎年流行する季節性のインフルエンザに加え、新型インフルエンザの感染に対しても予防が期待される。

インフルエンザウイルスの感染

 インフルエンザウイルスの表面にはスパイクと呼ばれる突起状のタンパク質があり、これを利用して喉などの細胞に感染する。エピガロカテキンガレートはこのスパイクに取り付き、ウイルスが細胞に吸着することや、感染した細胞内で新たに作られたウイルスの拡大を抑えます。すなわち、インフルエンザウイルスは、「ウイルスの付着」、「細胞への侵入と増殖」、「細胞間の感染」の段階で感染が広がるが、緑茶は、各段階でブロックし抑制が期待される。                    

飲用と予防対策

 インフルエンザウイルスは細胞へ吸着してから約20分で内部に侵入する。それ故、お茶をこまめに飲むことは、インフルエンザ対策として有効と思われる。一般に推奨されるのは、暖かい緑茶を1日、2~3杯分(500ml)以上飲むのが良いとされている。予防対策としてうがいや手洗いだけでなく、緑茶を飲む習慣を加えてみてはどうだろうか。

〈2020年6月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

-

この記事をシェアする