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〈食と美と健康〉お茶の魅力:暑い時の水分の補給と爽やかさを                 

 生活様式が変わったためなのか、多くの飲料が市販されているせいなのか、お茶離れが言われています。しかし、お茶が嫌いだという日本人はいないように思います。お茶の消費が減り、生産量も減少し、そのためか手入れされていない放任茶園が目立つようになってきています。確かに、昔と比べても、急須に入れたお茶を飲む機会は減っています。お茶の生理機能を研究していると多くの効能があり、お茶をもっと飲んで欲しいと思うのですが、そこで、どんな状況でお茶は飲まれているかを再度考えてみました。すると、単に喉の渇きをいやすためではないように思われます。

 この暑い時期に、水分の補給としてお茶は適当でしょうか。夏場に脱水症状や体調不良の熱中症にならないように、水分を補給することは重要です。特に多くの汗をかく仕事についている人や運動を常に行っている方は別として、普通の生活をしている人は、いったいどれほどの水分を補給する必要があるのだろうか。一般に言われるのは、一日当たり体から失われる水分は2.5リットルです。その内訳は、尿や便から1.6リットル、汗や呼吸からは0.9リットル。一方、食事からとれる水分量は1.0リットル、体内で糖質や脂肪が燃焼した時にできる水分量は0.3リットル程です。体の水分量を保つには、差し引きすると1.2リットル分の水分を摂る必要があります。特に暑い夏場には、失われる水分量も多くなるので、それだけ余分に水分の摂取が必要です。

 それでは、水をがぶがぶ飲めばよいのでしょうか。一度に多量の水分を摂ると体内の水分バランスが崩れ、体調の悪化につながるので、こまめな補給が必要になります。また、お茶には、カフェインが含まれているので、カフェインの感受性は個人により違いがあるが、一度に多量に飲むと、その利尿作用のためにすぐにトイレに行きたくなります。結果として、体内の水分を出すことになり水分補給の意味がありません。適量のお茶であれば、カフェインは問題になりませんが。

 最近では、水出し煎茶や氷だし緑茶が好まれています。お茶を飲んだ時のリラックス感は、暑い時期のイライラやストレスの除去にもなります。また、水出しだと、侵出液のカフェイン量も20%程度に抑えられます。冷蔵庫から取り出した冷茶は、黄緑色で爽快さを呼びます。体がほてっているとき、喉の渇きをいやすために、これらの冷茶は、色味からも心を涼しくしてくれるのでお勧めです。また、東洋医学では、「お茶は体を冷やす」といわれていますので、夏場には適していると思います。

 お茶を飲んだ時のリラックス感は、ストレスの除去にもなります。爽やかな一杯の冷茶をゆっくりと楽しむのも避暑法の一つです。

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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